fc2ブログ

2007-08-05

韓国紙に載った沖縄県広告(下)

 前回沖縄県の「平和の礎 刻銘案内」朝鮮日報紙掲載の広告について、疑問点を挙げたが、izumatsu報告から受けた私の感想はこうだ。
 
 第1点目、なぜ女性の名がないのか。従軍慰安婦にされた人々という先入観があるからだ。沖縄県の説明では彼女たちの名誉や人権に関係するから外したという。
 こういう説明を聞いたらおかしいなとは思うだろ。たしかに彼女たちの遺族の中には刻銘を拒否する人もいる。しかし、たとえ元慰安婦でも名を刻んでほしいと思う遺族は多くなっているようだ。

 まして、礎に刻まれるのは名前だけ、それが「平和の礎」の理念だ。
 遺族にその選択を任せる。これが当然じゃないかな。小田実の追悼(「身の丈のひと」)でも書いたように「(韓国人にも開かれた刻銘という)作法はあるが、(相手の自主性に任せるという)礼儀がない」の典型だね。

 国籍に関係なく刻銘するとき、県は慰安婦問題に対する明確な態度を表すべきだったと思う。そこを曖昧にしたままにするから、県の職員が及び腰になっているのだろう。

 第2点目、韓国人の身元確認は歴史学者ホン・ジョンピルさんが8年間一人で行ってきた。彼は沖縄県に刻銘条件に合致する韓国人の名簿提出を求めた。県は旧厚生省保存の軍関係名簿から419人を抽出して彼に渡した。これがすべて男性だったのだ。

 第3点目、沖縄戦で死んだ朝鮮半島出身者は1万人といわれる。ただ、強制連行、創氏改名などのため身元はなかなかたどれない。これは記憶に銘記すべきだ。
 とはいってもすぐに忘れちゃう。私はこんな風に頭に入れている。参考にしてくれ。
 ハングルで“セヨ”は丁寧語だ。「してください」の意味だね。日本語はもちろん命令語だ。沖縄でもアジア各地でも、日本軍は徴用した朝鮮半島出身者をこき使った。「早くせよ」とね。ところが、コリアンたちにとって“セヨ”は丁寧語だから、「早くしてください」と受け取ったというんだよ。「この兵隊さん、親切だね」。すごく悲しい話だ。

 また、関東大震災のとき朝鮮人が放火して回っているという流言蜚語があった。これくらい習っただろ。顔かたちじゃ日本人と朝鮮人の区別がつかないから、どうしたか。身なりの貧しいものや不審者をとっ捕まえてある言葉をしゃべらせるんだ。“がっこう”“ごみ”“だいにっぽん”。
 なぜ?コリアンは語頭を濁音で発音できない。“かっこう”“こみ”“たいにっぽん”となってしまうんだね。これもすごくいやらしい話だ。

 このizumatsu報告は3年前のものなんだ。その時点で沖縄県はホンさんとの契約を終了して調査を中断している。そして、今年6/11にこの「広告」を出している。ということは県の調査とは申告を待つだけの姿勢なのだろうか。
 詳しいことが分かったらまた書く。(06:30)

             次は8/10(金)に更新します。

コメント

セヨ

ハングルでセヨは丁寧語だというくだりに、強い衝撃を受けました。

本名と漢字読み

この場合のように言葉の行き違いではないが、今度の選挙で在日2世が漢字読みではなく本名で民主党から立候補した。(前回の選挙で漢字読みの在日コリアンは当選している)。
本名か漢字読みかは、日本への同化度という葛藤もついているのではないかな。ちなみに彼は小児麻痺で車椅子議員の誕生かというところだった。
民主党は改憲論者や集団的自衛権容認派が多いから私は支持していないが、このようにリベラルな領域も多いようだ。
韓国人の名前をペヨンジュンのように本名で呼ぶようになったのはいいことだね。韓国では日本人の名前を日本名で呼んでいるから相互主義で漢字読みをしなくなった。
日本と中国も相互主義で本人には通用しない呼びかたをしているが、少なくても日本の方から中国人を本名で呼ぶようにしたらいいと思う。本名で呼ぶことは相手を認める・敬うことの第1歩ではないか。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する