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2007-09-07

名誉回復と“恨”について

[The REK Friday Blog]

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 今は見出しだけ見てください。小菅信子は「まず従軍慰安婦の名誉回復を」といっています。私は慰安婦にされた女性たちに名誉回復は可能だろうかと疑念をもっています。日本政府の謝罪は彼女たちの余りに悲しい最低限の要求だと思うからです。
 謝罪では済まない行為が日本人には課せられているでしょう。
 同時に、朝鮮半島の人々が抱く“恨”という感情をどうしたら解き放つことができるのかを考えて見ます。

 事実誤認に基づいて不当に処遇されたとき、人は名誉回復を求めます。私の頭に真っ先に浮かぶのはスターリン時代に処刑された人々ですが、米議会で“慰安婦謝罪決議案”を提出したマイク・ホンダ議員の場合、つぎのような事情があるようです。
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 マイク・ホンダは戦時中の日系人強制収用に対して、米政府に謝罪を要求して勝ち取っています。「謝罪によって失われた時が戻るわけではないが、尊厳を取り戻した」のだとホンダはいいます。日系人の名誉回復です。
 彼が「失われた時」というとき、財産の没収という物理的損失、収容所での死という悲惨など、不当な扱いを念頭に置いていると思います。そのようなものは返ってこないが、屈辱感という精神的な痛みは和らぐのだといっているのでしょう。

 さて“従軍慰安婦”には謝罪によって「尊厳を取り戻す」ことができるのでしょうか。屈辱感はいくらか拭われるかもしれません。しかし、彼女たちの屈辱は戦時中に慰安婦にされたという事実ではなく、戦後60年以上も放置された恨みかもしれません。なぜなら、当事者は余命いくばくもない女性たちであり、すでに放置されたまま亡くなった女性たちだからです。

 そのような精神的な痛みが和らいだとしましょう。そのとき果たして、尊厳を取り戻したことになるのでしょうか。従軍慰安婦にされたという事実は決して消えません。
 日本軍の強制収用所における処遇に対して、オランダ人も謝罪と補償を要求しています。戦時中の行為を、戦争という大きな行為の中の出来事だから、個別に謝罪も補償もできないという考えに私は与しません。それをしなければ戦争はいつまで経っても正当化される時代が続くと思うからです。

 その前提に立って、オランダ人の捕虜生活と従軍慰安婦の生活を同列に論じることはできるでしょうか。
 従軍慰安婦を性奴隷として人権の観点から捉えるようになったのは最近のことです。かつて私は「DAYS JAPANのDEEP IMPACT」http://rek320.blog53.fc2.com/blog-entry-90.htmlで「戦争を戦場に不可欠な売春と捉える」と書きました。人はこのような制度的売春を強制されたとき、自分の半生をないものとし、“モノ”として扱わなければ生きてゆけないと思います。

 彼女たちが尊厳を取り戻すということは、消えない過去を無理やり消さないということではないでしょうか。謝罪して決して済むものではありません。
 私たちに求められているのは消えない過去を消さないことです。従軍慰安婦が存在したことを覚えていることです。日本人は朝鮮半島の人々を無理やり連れていき、性奴隷に従事させたことをいつまでも覚えていることです。
 彼女たちは私たちのその記憶の中で、一人対一億人という圧倒的な大きさで立ち向かってこそ尊厳の回復が可能になるのではないかと考えます。

 ここまでは日本人である私の考えです。隣国関係の未来志向に対して、謝罪して歴史から葬りたいという人々を牽制する意図もありました。
 ここで、タイトルに記した“恨”を考えてみます。ハングルで“ハン”と読みます。NHKラジオハングル講座2001年1月号の応用編に講師の小倉紀蔵は次のようなメモを書いています。
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 恨とは離れ離れになるとき心に積もるものだ。それを解いて初めてひとつになれるというものだそうです。
 従軍慰安婦は戦争が終わって故郷に帰っても気を休めることができませんでした。慰安婦・日本軍への協力者、そんな中傷に晒されていたことは想像に難くありません。
想像力の手助けにフィリッピンの例をあげてみます。9/4付けの「朝日」特集記事です。日本兵に強姦された女性たちが集まりを持っていますが、そこでの証言が掲載されています。
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 もし私がこの記事中の父親の立場に置かれても、面と向かって罵詈雑言を浴びせることはしないと思います。しかし、慰め、いたわり続けて日々を送れるか、なかんずく妻に対して心を開くことができるか、自信がありません。

 母国に戻った女性たちは故郷と一つになりたい、そのような思いをずっと抱き続けていたことでしょう。日本政府に放置されたままではそれは叶いません。
“恨を解く”、これが彼女たちの名誉回復のようです。

 従軍慰安婦にされた女性たちの願いは日本政府の謝罪です。私たち日本人の義務は謝罪だけでは済まされません。事実を記憶に留めておくこと、記憶の中で彼女たちと向き合うことだと思います。

 最後に小倉紀蔵について少し紹介しましょう。最近は売れっ子の論客として活躍しています。こんな具合です。
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