横須賀空母ストーリー
[The REK Friday Blog]
年末特集(その二)
明 2008年8月19日、原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に配備される。8.19という期日が住民に重くのしかかる。指をくわえて待つだけでいいのか。配備反対の住民投票、港の浚渫工事差し止め訴訟等、知恵を尽くして反対運動を展開してきた。そして、再度住民投票の直接請求運動を起こす。
年末特集(その二)
明 2008年8月19日、原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に配備される。8.19という期日が住民に重くのしかかる。指をくわえて待つだけでいいのか。配備反対の住民投票、港の浚渫工事差し止め訴訟等、知恵を尽くして反対運動を展開してきた。そして、再度住民投票の直接請求運動を起こす。
今年2月、原子力空母配備についての住民投票直接請求が4万の署名で臨時議会にのぼった。議会は33対10の圧倒的多数でその請求を退けた。退けたものの海自関係者や市の幹部には4万の請求自体が想定外だったようだった。議員も数字の重みを感じて議会内に住民投票の勉強会を開いている。
住民投票条例案否決直後の市民アンケート(NPO法人アリスセンター)によっても、なお75%の市民が配備の是非を問う住民投票が必要だと回答した。
いま横須賀港では15m掘り下げるための浚渫工事が行われている。原子力空母の冷却用海水取り入れが主な目的だ。基地の沿岸とはいえ港湾の管理権は市長にある。安保は国の専権事項であるという馴染みの理由で市長は許可した。これに対して住民は浚渫工事差し止め訴訟を起こす。
訴訟中にも工事はどんどん進むので工事差し止めの仮処分を求める訴訟も同時に起こした。
理由は二つ。一つは浚渫される大量のヘドロによる海洋汚染と漁業被害。二つ目はもちろん工事目的の原子力空母配備に起因するものだ。
原子力空母の原子炉はその性格上原子力発電の原子炉よりコンパクトで高出力だ。そこに原発以上の危険性が潜む。原子炉の構造を理解することは私には煩雑すぎるから、次の2点だけ専門的な用語を頭に入れておく。
一つ目。原発のウラン燃料はウラン235の濃縮度3~5%の酸化物であるのに対して、空母ではウラン235の濃縮度97%の酸化物をジルコニウム合金に埋め込んである。ということは原子炉の出力コントロールが難しく、出力の異常急上昇から燃料棒の破損という事態を招く可能性が大きい。
二つ目。空母は原発より原子炉圧力容器が小さいため、核分裂時に放出される中性子照射の密度が高くなる。ということは炉壁の劣化が進みやすい。
原子炉本体の危険性に加えて、基地横須賀という立地から来る地震の影響が大きな問題だ。三浦半島の活断層は周知の通り。
空母が港に停泊しているときは原子炉が停止している。つまり発電は行っていないため空母の電気系統には陸上から送電する。地震により陸上の電力供給施設(天然ガス火力発電所)が運転を停止したら原子炉の冷却が行われなくなる。空母には非常用ディーゼル発電機が備えてあるが、たとえそれが地震の被害を受けなくても発電能力はせいぜい1週間だ。原子炉に冷却水の循環が途絶えれば炉心溶融に至る。
放射能の被曝は横浜で一部死亡から半数致死、東京で急性障害に相当する。
実は、原子力空母の構造に関して米軍は具体的な資料を何も提供していない。上記の報告は原子力資料情報室の上沢さんが様々な資料を検討・分析したものだ。
原子力空母にも民主・自主・公開という原子力3原則が適用されるのは当然だと私は思う。浚渫裁判で東経大の磯野教授は「原子力空母のように情報が非開示になっている場合、放射線被曝の危険がないことを国が具体的根拠で示すべきだ」と、国に安全性立証責任があるとの意見書を提出している。
横浜地裁の判決は来年2月27日に出る。
さて過日、私は住民投票の会の会議に同席した。出席しているメンバーの熱意・知恵・連携・行動力には驚くばかりだ。もちろん原発ではないが民主・自主・公開が大原則。
議題はなぜ再度住民投票かの詰め。
港湾工事使用目的の変更、不十分な安心・安全対策、市民不在の米軍参加防災訓練など市に対する不信感の増大、日本寄港の原潜原子炉記録改竄・イージス艦鹿児島寄港時の火災事故隠蔽の事実判明、さらに原子炉専門スタッフと空母建造会社の横須賀進出による放射能作業の深刻化、2月以来のこれら新しい事態に対応するためだ。
現市長は6万余りの得票で当選した。再度の住民投票直接請求ではその6万の署名が目標だ。誰でも署名を集めることができるというものではない。まず署名集めの資格をもつ受任者の数を増やすことが緊急の課題になる。前回は2千人だった。今回は3千人を目指す。受任者一人につき20の署名という勘定だね。なぜもう一度と尻込みする人は当然いるだろう。何回でもやるよという人もいるに違いない。
12月22日、新しい事務所開きと決まった。
追記的に二つ。
13日朝日朝刊に次のような記事が出た。市民が横須賀基地上空の民間航空機通過制限を国に求める訴訟を東京地裁に起こすというのだ。国土交通省は原子力施設付近上空の飛行をできる限り避けるよう通達を出している。原子力空母の母港となれば年間200日は停泊する。まぎれもなく原子力施設だ。基地上空は羽田から関空に向かうルートで、1日50便が通過している。
会のメンバーの訴えだが、よく勉強していると感心した。
次は規制緩和の悪乗りみたいな例。
“宝ハウス”というマンション販売会社が「現在建設中のマンション3棟(200戸)については、米軍との契約に基づき主に在日米軍単身者向けの賃貸マンションとする」という内容の説明会を実施した。
これはまずい。悪しき前例となれば、米軍住宅が日本全国にいとも簡単に建設されることに繋がる。宝ハウスに対する不買というか不借運動が必要じゃないか。
(12/15 ニュースの発送を手伝った。前回受任者2200名分。大変な作業だった)
カンパ先 郵便振替口座 00200-6-80423 住民投票を成功させる会
一口 1000円 (046-827-2713 横須賀市民法律事務所内)
http://cvn.jpn.org/cvn/
次回は20日(木)の予定です。
住民投票条例案否決直後の市民アンケート(NPO法人アリスセンター)によっても、なお75%の市民が配備の是非を問う住民投票が必要だと回答した。
いま横須賀港では15m掘り下げるための浚渫工事が行われている。原子力空母の冷却用海水取り入れが主な目的だ。基地の沿岸とはいえ港湾の管理権は市長にある。安保は国の専権事項であるという馴染みの理由で市長は許可した。これに対して住民は浚渫工事差し止め訴訟を起こす。
訴訟中にも工事はどんどん進むので工事差し止めの仮処分を求める訴訟も同時に起こした。
理由は二つ。一つは浚渫される大量のヘドロによる海洋汚染と漁業被害。二つ目はもちろん工事目的の原子力空母配備に起因するものだ。
原子力空母の原子炉はその性格上原子力発電の原子炉よりコンパクトで高出力だ。そこに原発以上の危険性が潜む。原子炉の構造を理解することは私には煩雑すぎるから、次の2点だけ専門的な用語を頭に入れておく。
一つ目。原発のウラン燃料はウラン235の濃縮度3~5%の酸化物であるのに対して、空母ではウラン235の濃縮度97%の酸化物をジルコニウム合金に埋め込んである。ということは原子炉の出力コントロールが難しく、出力の異常急上昇から燃料棒の破損という事態を招く可能性が大きい。
二つ目。空母は原発より原子炉圧力容器が小さいため、核分裂時に放出される中性子照射の密度が高くなる。ということは炉壁の劣化が進みやすい。
原子炉本体の危険性に加えて、基地横須賀という立地から来る地震の影響が大きな問題だ。三浦半島の活断層は周知の通り。
空母が港に停泊しているときは原子炉が停止している。つまり発電は行っていないため空母の電気系統には陸上から送電する。地震により陸上の電力供給施設(天然ガス火力発電所)が運転を停止したら原子炉の冷却が行われなくなる。空母には非常用ディーゼル発電機が備えてあるが、たとえそれが地震の被害を受けなくても発電能力はせいぜい1週間だ。原子炉に冷却水の循環が途絶えれば炉心溶融に至る。
放射能の被曝は横浜で一部死亡から半数致死、東京で急性障害に相当する。
実は、原子力空母の構造に関して米軍は具体的な資料を何も提供していない。上記の報告は原子力資料情報室の上沢さんが様々な資料を検討・分析したものだ。
原子力空母にも民主・自主・公開という原子力3原則が適用されるのは当然だと私は思う。浚渫裁判で東経大の磯野教授は「原子力空母のように情報が非開示になっている場合、放射線被曝の危険がないことを国が具体的根拠で示すべきだ」と、国に安全性立証責任があるとの意見書を提出している。
横浜地裁の判決は来年2月27日に出る。
さて過日、私は住民投票の会の会議に同席した。出席しているメンバーの熱意・知恵・連携・行動力には驚くばかりだ。もちろん原発ではないが民主・自主・公開が大原則。
議題はなぜ再度住民投票かの詰め。
港湾工事使用目的の変更、不十分な安心・安全対策、市民不在の米軍参加防災訓練など市に対する不信感の増大、日本寄港の原潜原子炉記録改竄・イージス艦鹿児島寄港時の火災事故隠蔽の事実判明、さらに原子炉専門スタッフと空母建造会社の横須賀進出による放射能作業の深刻化、2月以来のこれら新しい事態に対応するためだ。
現市長は6万余りの得票で当選した。再度の住民投票直接請求ではその6万の署名が目標だ。誰でも署名を集めることができるというものではない。まず署名集めの資格をもつ受任者の数を増やすことが緊急の課題になる。前回は2千人だった。今回は3千人を目指す。受任者一人につき20の署名という勘定だね。なぜもう一度と尻込みする人は当然いるだろう。何回でもやるよという人もいるに違いない。
12月22日、新しい事務所開きと決まった。
追記的に二つ。
13日朝日朝刊に次のような記事が出た。市民が横須賀基地上空の民間航空機通過制限を国に求める訴訟を東京地裁に起こすというのだ。国土交通省は原子力施設付近上空の飛行をできる限り避けるよう通達を出している。原子力空母の母港となれば年間200日は停泊する。まぎれもなく原子力施設だ。基地上空は羽田から関空に向かうルートで、1日50便が通過している。
会のメンバーの訴えだが、よく勉強していると感心した。
次は規制緩和の悪乗りみたいな例。
“宝ハウス”というマンション販売会社が「現在建設中のマンション3棟(200戸)については、米軍との契約に基づき主に在日米軍単身者向けの賃貸マンションとする」という内容の説明会を実施した。
これはまずい。悪しき前例となれば、米軍住宅が日本全国にいとも簡単に建設されることに繋がる。宝ハウスに対する不買というか不借運動が必要じゃないか。
(12/15 ニュースの発送を手伝った。前回受任者2200名分。大変な作業だった)
カンパ先 郵便振替口座 00200-6-80423 住民投票を成功させる会
一口 1000円 (046-827-2713 横須賀市民法律事務所内)
http://cvn.jpn.org/cvn/
次回は20日(木)の予定です。
コメント
カンパ、ありがとうございました。
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