fc2ブログ

2008-05-30

ソウルの空気を

[The REK Friday Blog]

 前々回の『Windows』にコメントをもらった。現実と隔絶してインターネットの仮象世界に生きる人々を“考試院症候群”と曖昧な名づけをしてしまった。考試院という空間について補足する。

 

 考試院を舞台にした小説を朝鮮日報のコラムはあと二つ紹介している。

” パクミンギュの短編『甲乙考試院滞在記』は韓国の文学界に突如衝撃を与えた。かつてない人間の形が考試院という新しい空間から生み出されたのだ。それは顕著に社会の現実を告発する。
「厚さ1センチのベニヤで仕切られたそれぞれの部屋に、男も女も立てこもる。声を潜めながら屁をひり、眠りをむさぼり、思いをめぐらし、自慰する。考えるほどにある種の壮観でもある」”

”「私が暮しているソウル考試院203号室。窓を開けると」で始まるキムミウォルの短編『ソウル洞窟ガイド』は次のように考試院の密室アイロニーを描く。
「防音どころか、日が昇るにつれ卓越した“通音”効果を誇る板壁は、ただ恨めしいほど立体音響に慣れた者のためにだけ、存在する場所だ」”

 評論家インスリョンは「80~90年代、小説の空間はマンションだった。個人性の確保が小説家のテーマだったのだ。今それは過去のものとなり、韓国は新しい局面に向き合っている」と語る。

 私はこのような小説を読むことができない。ただ、人口の4分の1が集中するソウルの空気を嗅いでくる。

 いよいよREK(Road to the Experience of Korea)に乗ってきます。6月は「Friday Blog」を休みます。再開は7月4日(金)です。事情が許せば韓国レポートを掲載します。
(ソウルへ飛び地方めぐりをしてプサンからフェリーで下関へ帰る予定にしています)

 巌谷国士は『アジアの不思議な町』(筑摩書房)の中で「のどかでうららかで、たとえ気温は零下になろうとも南国の明るさと熱さをたたえたこのはげしい気性の国」と書いています。
 私は‘00年に慶州の仏国寺を訪れたとき、なんと開放的な、ラテン的なんだという印象をもったことを覚えています。

*国分さんの老人ホーム入居話がとんとん拍子に進んで6月1日入居となった。(今の団地の奥だからさらに遠くなる)
 私は先週と今週、引越しの手伝いに行った。86才の国分さんはモノに押し潰されそうだった。何でも一人でこなすのに、私に連絡くれた理由がこれだ。にっちもさっちもいかないという状況が人生で何度かあるとすれば、国分さんにとってこの引越し作業が最たるものだろう。

 外回りと鴨居から上、それに重量物を整理した。子供か孫、あるいは近所の女性がいて、こまごましたものを整理してくれると助かるのになあ、と私は心底思った。
 国分さんはそんなことに愚痴一つこぼすわけでもなし、はーはーいいながら気力を振り絞っていた。

  老人の一人暮らしにしては身軽ではなかった。国分さんはそればかりは反省している。おおかた捨てた。といっても、私から見ればまだまだもっていくものが多い。果たしてホームの個室に入りきるだろうか。

 ホーム暮らしは、いわば、団体生活じゃないかな。適応できるか心配でもあるよ。暮してみたら、修繕業者を呼ぶほどではないが、こうだったらいいのにという箇所が敷地内にたくさんあると思う。そんな仕事は国分さんの得意分野ですねといったら、国分さんは頷いていた。
 6月の末にはホームを訪ねに行く。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する