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2009-04-03

ああ植民地感覚 

[The REK Friday Blog]
 1964年に米原子力艦船が初めて日本に寄港した。原子力潜水艦が佐世保に来たのだが、そのとき「原子炉の修理は行わない」という日米外交合意文書(通称“64年エードメモワール”)をかわした。翌年は横須賀に原子力空母エンタープライズが寄港して、それ以来原潜・原空の原子力艦船は何度も来ている。
 寄港だから原子炉の修理は行われなかったことは恐らく事実だ。そして、昨年原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が横須賀に母港配備された。米軍はファクトシートという文書を発表して、原子炉の修理は行わないと明記した。
 しかし、31日朝日社会面に次のような記事が載った。
社会面見出し社会面上
社会面下

 米海軍ケリー司令官は3月30日に退役したが、2月の横須賀市長との会合で次のように語っている。「原子炉の修理をしているのではないかという非難は誤り。修理ができるのは本国ピュージェットサウンドとノーフォークのニューポートニュース造船所の2ヶ所だけであり、この規則を破ったら首になる」

 GWの前に配備されていたキティホークは原子力空母ではなかった。だからキティホークのエンジニアと作業員ではGWの修理を行うことができない。それでピュージェット造船所から550人の作業チームが横須賀に派遣されている。これはすでに1月16日にアメリカの新聞が報じていることだ。

 ケリー前司令官の厚顔ぶりにはあきれるばかりだが、彼の説明をただ聞いているだけの蒲谷市長にはイチローではないが、米軍のユニフォームを着ているのではないかと揶揄でしか言及できない。ネイビーバーガーというハンバーガーをケリーと一緒に大口をあけて頬張っている写真が市内では大きく出回っている。

 ところで何故“海軍原子力推進機関プログラム”なるワシントンDCの統括部門がGW原子炉の補修に関する事実を公表したのだろうか。
 さらに米海軍は3月31日に「GWから出た低レベル放射性廃棄物約一トンが二十八日、米海軍がチャーターした貨物船に積み込まれ、米国に向けて搬出された」と発表した。

 明らかにエードメモワールとファクトシート違反だ。エードメモワールには次のように記載されている。
⑦燃料交換、動力装置の修理は日本国内では実施しない。
⑧放射能に晒された物質は、通常、外国では艦外には搬出されない。

 ファクトシートではこうだ。
「64年のエードメモワールで表明された燃料交換及び修理に関する合衆国のコミットメントは、引き続き完全に堅持される。燃料交換及び原子炉の修理は、外国では行われない。燃料交換は、適切な特別の装置を用いて、合衆国海軍原子力推進機関プログラムが認めた施設(合衆国内にのみ所在する)においてのみ行い得る」

 このように米海軍の「放射性物質搬出」という行為はエードメモワール⑧に違反していることは明らかだが、“原子炉の修理”に関してケリー前司令官はとぼけているようだ。“原子炉本体の修理”であることを疑いもなく大前提にして、これを既成事実化しようとしている。姑息な手法だ。

 エードメモワール⑧で規定されれば1次冷却水、フィルター、配管の交換は行わないことを意味する。禁じているのは原子炉本体の修理ではない。

 エードメモワールとファクトシートに違反している事実をなぜ米海軍は認めたのか。
 海軍司令官の交代を機に、この既成事実を新たな出発点としたかったのではないだろうか。なし崩しは日本人社会のおはこだし、蒲谷が6月に再選されれば嘘をついたケリーのみそぎにもなる。

 米軍駐留経費の75%を日本政府が負担している。75%といえば年間44億ドル。約100倍して4400億円。日本の駐留米兵4万人ちょっと。一人当たり1000万円。
 安保は国の専管事項だと自治体の首長はいう。しかし、政府の負担はいうまでもなく市民の税金だ。米軍再編に異議を申し立てることは市民の大きな責任でもある。

 参考までに朝日横浜版の記事を載せる。
横浜版上
横浜版下

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