fc2ブログ

2009-07-31

反マケイン・スタンディング

[The REK Friday Blog]
 7月19日(日)の「朝日」朝刊神奈川版に「大さん橋に日米戦闘艦」という大見出しが載った。横浜港では開港150周年を記念する博覧会を開いている。その「海の日」に合わせた特別イベント「海フェスタよこはま」に何と米海軍イージス艦“マケイン”を招待して公開するというのだ。続いて海上自衛隊のイージス艦“きりしま”と砕氷艦“しらせ”、ヘリ空母“ひゅうが”も公開される。
 私は朝一番でこの記事を読んだ。原子力空母の母港反対で横須賀に通っているのに、これに抗議しない手はないと直感的に思った。記事をスキャンして仲間に送ったら、早速Iさんから返事が届いた。

「南極観測船“しらせ”までは許せます。しかし、大桟橋は基本的に飛鳥やQEIIなど民間の商業用の船舶のためのものです。軍隊の船が偉そうに自身を人々にさらすところではないはずです。中田市長、本性をむき出しにしてきたな、という印象です。私も出来たら声をあげに行きます。時間と場所の案を教えて下さい」

 こんな急にどんな対応ができるだろう。一人でできることがいい。そこで、見学者にマケインというイージス艦がどんなに危険な任務を果たしてきたのかを訴えてみようと思って、“スタンディング”をすることにした。
 その旨メールを送ると、Iさんが「大桟橋に軍艦は似合いません」というスタンディング用のプレートを作ったと連絡してくれた。Fさんもプレートに頭をひねっているという。

 私は公開の正確な日時を「海フェスタ」事務局に問い合わせた。21日が歓迎式、22日が一般公開だが、時間は米海軍と調整中だという。とりあえず21日の11時半ころ大さん橋へ様子を見に行ったら、マケインはすでに大さん橋先端部分に着岸していた。イージス艦はレーダーなどを取り付けたマストが斜めに傾いているので、すぐに識別できる。

 私は案内所へ行って歓迎式は済んだのかと聞いた。すると応対した偉そうな人の向かいにいた職員が、いかにも身内に話し掛けるような口調で「副市長がお見えになって終わりました」といった。実は私は仕事の合間をぬって行ったので、薄汚れた作業着に市xx局の腕章をつけていたのだよ。乗組員はまだ艦内にいるとのことだった。

 小雨の中、見物人は少なくガードマンの姿が目立った。警官がちらほらで、抗議の意志を示している人はいなかった。
 大さん橋埠頭ビルの脇からマケイン着岸地点まで、岸壁沿いに100メートルくらい封鎖されていた。一般公開来場者先着2千名はこの封鎖された岸壁沿いの通路をマケインまで歩いてゆくのだろう。ローヤルウィング屋上の広い板張りデッキ広場からはマケインを真横から見下ろすことができる。ここは出入り自由だ。

 マケインまでの岸壁沿い通路出入り口の扉には、横断幕・プラカード・ゼッケンなどの着用者は入場できないと貼り紙があった。逆に言えば、封鎖された通路以外、板張りデッキには何の規制もないということを確認した。

 22日は11時から3時まで公開されることが分かった。公開中の4時間なら5,6人いれば誰かが意思表示していられるだろう。だがとても残念なことに私が頼りにしていた仲間の二人から、先約があって都合つかずとの返事。横須賀からも同様なメールがきた。いつも駄洒落をとばすSさんからは“反基地闘争は絶対負ケイン”というメールをもらって励まされもした。

 私は横浜市のHPで抗議メールを送った。こんな内容だ。
「横浜開港150年を記念する“海フェスタ”のイベントに、米イージス艦“マケイン”が大さん橋で公開されるということを知りました。“マケイン”はイラク戦争開始時、同じく米イージス艦“カウペンス”とともに70発のトマホークミサイルを発射しています。
 このような米軍艦をなぜ開港を記念するイベントに大さん橋で一般公開させるのか私には理解できません。日本に開港を迫ったペリーも軍艦に乗ってきたという理由なら冗談にもなりません。平和な未来を志向するはずの行事に、米軍艦を公開することに抗議します」

 さて22日、11時からつめていたFさんの話によれば、マケインの一般公開には大勢の人が押し寄せて長蛇の列だった。11時から公開したが12時前には定員の2千人に達して締め切ったという。私が1時に着いたときには、岸壁沿い通路入口の扉は閉鎖されており、公開を終了したという看板が掛かっていた。それを知った見物人が板張りデッキを上って行く。マケインを真横から眺めようというのだ。

 私もまず様子を見に行ったら、マケインの甲板で乗組員らしき家族が談笑している姿が目に入った。一方で船内見学にあぶれた大勢の地元住民が外から眺めている。それはまるで植民地的光景だった。

 行き違いでIさんには会えなかったが、Fさんと二人でマケインを見下ろす板張りデッキの柵を背にして立った。次々にやってくる見物客はほとんどの人が私たちの表示プレートに目を向けた。排水量はいくらだと軍艦の知識を披露する人もいれば、見物には来たが軍艦を入れてはいけないという人や、励ましてくれる人もいた。戦争体験を語り合う年配の人もいた。

 デッキ広場の中央付近を見ると、いつの間にか港湾局の職員、私服・制服警官、ガードマンなど合わせて17,8人が私たちを見つめていた。港湾局の職員が二人、それぞれ1回ずつ、「トラブルにならないように注意してくれ」といいに来た。

 私たちの前に人だかりができると、警官と職員が7,8人で回りを取り囲んで様子を見ていたが、人が流れ始めると元の位置に戻っていった。それが何回か繰り返された。3時ころには見物人も少なくなって、スタンディングをやめた。

 私たちの姿を見て「いろんな人がいていいのよ」と、連れとうなずきあう人がいた。ここを訪れた人はアメリカの軍艦を見に来たとはいえ、そんな印象を持った人が少なからずいたのではないだろうか。そして、恐らく家庭や近所、職場では話しにくい話題を、このような機会があれば語り合いたいという人が多いのだと私は思った。
プレート(1)プレート(2)軍艦モザイク

コメント

>私たちの姿を見て「いろんな人がいていいのよ」と、連れとうなずきあう人がいた。ここを訪れた人はアメリカの軍艦を見に来たとはいえ、そんな印象を持った人が少なからずいたのではないだろうか。そして、恐らく家庭や近所、職場では話しにくい話題を、このような機会があれば語り合いたいという人が多いのだと私は思った。

わたしもそう思います。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する