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2009-12-25

米軍が再編を見直す

[The REK Friday Blog]
 暮れも押し詰まった日曜日の夜に「政権交代と神奈川の基地~国会議員と考える“米軍再編”の見直し」という集会が横浜であった。100人近く出席して会場は熱い雰囲気だった。
 集会は先の総選挙比例区で辛うじて当選した民主党と社民党の代議士を招いた。二人にとっては大事な後援の集まりと捉えているかも知れないが、参加者にしてみれば与党の国会議員を利用しようという目論見。もっとも国会議員との対話はそういうものかもしれない。主催者は与党議員を招くなんてことは死ぬまで来ないと思っていたと冗談をいった。

 国会議員が来るといってもそうそうホットな情報は得られないかも知れないと、事前に主催者は集会の成り行きについて参加者の満足度を低く見積もっていた。しかし二人の代議士はかなりホットな情報をもたらした。会場の熱気がそうさせたのだろうと思う。

 伊波宜野湾市長が政府関係者に海兵隊のグアム移転についての米軍資料を見せたとき、岡田外相だけが「海兵隊が全部引き上げたら抑止力にならないな」といったという。岡田は長嶋一茂なみだね。一茂はテレビ番組で「沖縄から米軍がいなくなったら誰が守ってくれるの」といったというじゃないか。

 “抑止力”というのは前政権の遺物だ。東京新聞によれば、2006年に日米合意した米軍再編では、米陸軍第一軍団のキャンプ座間(厚木基地)移転が米側から提案された。それに対して日本側は(移転してくる)陸軍と(沖縄の)海兵隊という二つの陸上戦力はいらない。沖縄海兵隊をグアムへ移転させてほしいと持ち出し、米側が了承したという。
 両方断ればいいものを、「最低一つの陸上戦力を置く理由は“抑止力の維持”にある」と、東京新聞の記者は書いている。

 この“両方断れば”を無責任なたわごとと見てはいけない。「米軍が提案した米陸軍第一軍団の座間移転は米側の事情で頓挫する見通しとなった」と記事にある。「米側の事情で第一軍団の日本移転が中止として見直されるのなら、普天間飛行場の名護市辺野古沖への移転を見直さない理由はなくなる」

 住宅問題も米軍に振り回される。現在、逗子の米軍池子住宅地区には857戸ある。横須賀基地の中にも米軍住宅はあるが、足りないからここから通うのだね。渋滞にまきこまれないよう高速道路を利用しようというので、住宅出口付近にインターチェンジを作ろうなんて計画もある。住宅地区に軍の機密施設をつくるのではないかと疑う人もいる。

 そこへさらに700戸を逗子と横浜にまたがる地域に追加建設が予定されている。もちろん国の費用で建てる。追加建設はしないという国と県(長洲知事)と逗子市(沢市長)との3者合意があるにもかかわらず、国と県(松沢知事)と中田市長時代の横浜市が推進した。

 民主党の代議士は次のようにいった。「横須賀では米軍住宅を嫌って市内のマンションに住みたがっている軍人もいる(現に米軍が直接契約で市内の民間マンションを借りている)。また、好ましいことではないが計画中の空母艦載機がもし岩国へ移転すれば相模原の住宅が300戸余る。決して池子に700戸を追加する必要はないのではないか」
 まさに日本には再編過程という仮定の話で住宅を建ててやる余裕はない。

 横須賀の原子力空母はどうか。横須賀基地問題に関する報告者は「原子力空母の母港撤回について与党ではどのような青写真を描いているか」とてらいのない質問をした。
 代議士は与党にはそのような計画の検討はまだないと曖昧には受け答えしなかった。そして次のような話を付け加えた。

 10数年前、横須賀を母港としていた空母キティホークの後継艦が問題になっていたとき、グアムが原子力空母仮母港に浮上したことがあったという。地元では振興策の目玉として大いに歓迎していたそうだ。もっとも具体化していたら反対する人もいただろうと代議士は付け加えた。

 原子力空母の母港として横須賀以外の選択肢もあったということだ。一つだけ確かなことは、地元で反対運動がなければ何でも通るということ。横須賀でビラを配っていて、反対しても通るじゃないかという人は多い。「米軍基地はやむをえない」と横須賀の4割以上の市民は考えている。しかし、米軍の決めたことは不可侵ではないことが分かった。その4割の人々が「できるなら基地はないほうがよい」と考える日はいずれ来るだろう。

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