シリーズ第1弾 君はエード・メモワールを知っているか
[The REK Friday Blog]
Kくん、今から40数年前の1964年11月12日、アメリカの原子力潜水艦が初めて日本に寄港した。シードラゴンという原潜が長崎県の佐世保港に入ってきたのだね。
Kくん、今から40数年前の1964年11月12日、アメリカの原子力潜水艦が初めて日本に寄港した。シードラゴンという原潜が長崎県の佐世保港に入ってきたのだね。
それに先立ち日本政府は原潜寄港に関して対米照会を行い、米側が取りまとめたエード・メモワール(1964年8月17日)を公表した。
エード・メモワールとはフランス語から出た用語で、外交上の覚書あるいは備忘録という意味だ。
そのエード・メモワールには「原潜の運航は、少なくとも陸上原子炉と同等に信頼できる安全性を有する」と誇らしげに書かれている。
Kくん、君も知ってのとおり、アメリカの原発は1979年にスリーマイル島で大事故を起こしているのだが。
またこうも書く。「米原子力軍艦の運航を通じ、原子炉装置に損害を生じ、又は周辺の環境に何らかの放射能の危険をもたらした事故はなかった」
ところが1999年、原子力空母ステニスは原子炉が緊急停止する事故を起こし、2006年から2008年までの2年間にわたって原潜ヒューストンが放射能漏れを起こしていたと米海軍は発表している。
あまり大きなことをいっても、世の中には絶対はないということぐらい誰でも知っているのだが。
さて、原潜はどのように港に出入りするのか見てみよう。
「入出港は原子動力によって行われる。原子炉は停泊後まもなく停止され、また、出港の数時間前に始動される」
つまり、港の出入りの際に原子炉を停止することはなく、停泊してから原子炉を止めるというのだ。港に入っている間は原子炉は止まっている、これは大事なことだから覚えておこう。
次が本題だ。修理に関してこう書いている。
「原潜の燃料交換及び動力装置の修理を日本国又はその領海内において行うことはない」
「放射能にさらされた物質は、外国の港にある間は、原潜から排出されることはない。例外的な事情の下で、放射能にさらされた物質が排出される場合においても、危険を生ずることのない方法で、かつ、合衆国の港においてとられる手続きに従い行われる」
アメリカの港の手続きとはどんなかな。海軍の指令があるそうだが、部分的にはエード・メモワールにも書かれている。
「固形廃棄物は、承認された手続きに従い、原潜によって合衆国の沿岸の施設又は専用の施設船に運ばれたのち、包装され、かつ、合衆国国内に埋められる」
Kくん、以上がエード・メモワールを読んで気がついたことだが、アメリカはこのエード・メモワールのほかに、1週間後の1964年8月24日に声明を出している。それによれば「寄港に関し、受入国に対し、原子力軍艦の設計又は運航に関する技術上の情報を提供しない」
原潜に積まれた原子炉の構造を知ろうとしても、情報は与えないというのだね。
ところでKくん、原子力潜水艦が初めて日本に寄港してから3年後に、原子力空母が初めて日本にやってきた。1968年1月19日、原子力空母エンタープライズがやはり佐世保港に入ったのだ。
このときもアメリカはエード・メモワール(1967年10月20日)で次のように書いている。
「原潜の寄港に関する1964年のエード・メモワールにいう原子炉の安全性及び運航に関する諸点はアメリカの原子力水上軍艦にも等しく適用される」
つまり原潜の寄港で約束したことは、原子力空母の寄港でも同様に約束するというのだね。
このエンタープライズの初寄港について、私にはちょっと意外に思ったことがあるんだ。日本の原子力委員会が寄港にお墨付きを与えているんだね。
「米原子力水上軍艦の寄港には、わが国民、特に寄港地周辺の住民の安全上支障はないものと判断する」(1967年11月1日)
原子炉の構造も見ることなしに、よくそんなことがいえるものだと驚いてしまった。判断の根拠はただアメリカの説明だ。
「最大想定事故を仮定した場合のアメリカの安全解析によれば、原子力軍艦がその停泊地点の周辺の住民に対し不当な放射線その他の原子核による危険をもたらすものではない旨アメリカは言明した」からというのだから呆れるじゃないか。
そして原子力委員会がお墨付きを与えた翌日、外務省はエンタープライズの寄港に同意するという文書を発表した。
「安全性確認のため米国政府に照会を行い、原子力委員会の見解をも参考にして、安全性に確信を得たから原子力水上艦の寄港に同意した」(1967年11月2日)
原子力委員会の委員はその後代替わりしているだろう。今の委員はこの件を知っているのだろうか。原子炉の構造も分からないまま安全だというだろうか。質問状を出してみたいね。
さてKくん、長々と昔のことを書いてきたが、いよいよジョージ・ワシントンにつながってゆくからもう少し付き合ってくれ。
一昨年の2008年9月25日、原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)は横須賀に母港配備された。そのときアメリカはファクトシートなるものを発表した。
ファクトシートとは概況報告書とか説明文書のことだと辞書にはある。今度はなぜエード・メモワールじゃないのか。ちょっと詳しいからだね。
共産党の赤嶺議員が国会でGWの安全性について質問したところ、政府は次のように答弁している。
「ファクトシートにおいて、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する方針をすべて堅持し厳格に実施するとの米国政府の従来からの方針が改めて明示的に確認され、また、米海軍の原子力軍艦の設計や構造に関する情報を含め、従来よりも詳細な説明がされている」
そのファクトシートだが、アメリカが公表した「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート」(2006年4月17日)は次の11章からなっている。
1.合衆国原子力軍艦の安全性に関する合衆国政府のコミットメント
2.海軍の原子炉の設計
3.海軍の原子炉の稼働
4.原子力軍艦関連の合衆国職員が受ける放射線量
5.廃棄物の処理とメンテナンス
6.環境への影響
7.環境モニタリング
8.緊急対応 / 深層防護
9.極めて想定し難い事故のシナリオにおける放射能放出の可能性
10.緊急事態対応計画
11.補償
政府が答弁しているようになるほど詳しい。つい読み飛ばしてしまいたくなるよ。しかし、この場合詳しいとは専門的という意味だ。詳しければ詳しいほどそこに落とし穴も待っている。専門家に言わせれば肝心なところが欠けているということだろうが、原子力資料情報室のスタッフは科学的な想像力を駆使して欠けている部分を補った。
すると、米海軍が安全性の根拠とすることが、逆に危険性の根拠になったのだね。
いまここで問題にしたいのはエード・メモワールとの関連だ。
「日本国の港に寄港する原子力軍艦の安全性については、合衆国政府は、1964年のエード・メモワール、同年の外国の港における原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明、1967年のエード・メモワール、及び1968年の会談覚書におけるものを含め、確固たるコミットメントをこれまで行ってきた。合衆国政府は、これらのコミットメントのありとあらゆる面が引き続き堅持されることを表明する」
「1964年のエード・メモワールで表明された燃料交換及び修理に関する合衆国のコミットメントは、引き続き完全に堅持される。燃料交換及び原子炉の修理は、外国では行われない。燃料交換は、適切な特別の装置を用いて、かつ、合衆国海軍原子力推進機関プログラムが認めた施設(合衆国国内にのみ所在する)においてのみ行い得る」
過去のエード・メモワールで約束したことは、GWの母港配備についても約束するというのだ。しかし、つい見落としがちなんだが、2つ目の引用の2行目「燃料交換及び原子炉の修理」となっているね。
エード・メモワールでは「燃料交換及び動力装置の修理」なんだよ。「原子炉」と「動力装置」の違いとは何か。いまこれが横須賀ではホットな話題だ。
「動力装置」とは「原子炉からスクリューまでのシステム全体を指す」と海軍の文書にも書いてある。実は去年の1月から5月までGWはメンテナンス工事を行った。その工事とは、朝日新聞の質問に答えた米海軍原子力推進プログラムによれば、「(原子力推進機関の)1次系、2次系の両方のプラントに関連する部品やシステムに関するもの」「低レベル放射能を含む部品やシステムの定期的なメンテナンスも含む」ものだった。
だから、アメリカはエード・メモワールを遵守するとはいいながら、こっそり、意図的に、上記の工事を行うために「原子炉の修理はしない」とすり替えたのだと、横須賀では懐疑的に見ている。
数ある中の一つの証拠として、1トンもの放射能を浴びた廃棄物がGWから搬出されたとも新聞で報じられた。
この行為もまたファクトシートの意図的すり替えに基づいていた。エード・メモワールでは「放射能にさらされた物質は、外国の港では原子力艦から搬出されない」と書かれた部分がファクトシートでは消えていたのだよ。
最後にもう一つ問題にして終わるとしよう。
ファクトシートには次のような記載がある。
「合衆国政府としては、合衆国原子力軍艦についての極めて想定し難い事態に対処するためには、地震、化学物質輸送時の事故等の自然災害及び産業災害に対処するための日本国の既存の緊急事態対応計画で十分であると考える」
「地震のときの日本の緊急事態対応計画」とは、原発の事故想定をいっているのじゃないかな。
こんな記事があった。「茨城・東海村にある原子力発電所の事故を想定した防災訓練が22日、行われた。訓練では、鳩山首相が災害対策本部長として官邸から指揮を執り、緊急事態宣言を出すなどした」
首相が指揮を取った訓練の事故想定は、原因が地震なのか、あるいは人的ミスなのか、そのほかなのかは示されていない。
しかし横須賀でもこのくらいの訓練はしなさいとファクトシートでは求めているようだね。実際は、米軍は市民との防災訓練を必要としないと拒んでいる。米軍が参加しないと意味がないし、これはファクトシートと矛盾しているのではないか。
残念ながら日本の電力会社は地震による放射能拡散事故を想定していないようだ。これを認めさせて政府の緊急事態対応計画に盛り込めば、GWにも原発と同等の事故を想定できるのではないか。原発の地震被害を、火災事故だけではなく原子炉にまで影響する最大被害想定に切り替えるよう求める運動も大事だと思ったよ。
地震とGWについては後日また書くつもりだ。
つけたし。GWが停泊中に大地震が襲ったらどうなるのか。一番考えられるのは原子炉が必要とする冷却水が供給できなくなるという点だ。というのも、原子炉は止まっているから自力で冷却水を送ることは出来ない。そこで陸上の発電所から電力を送っているのだが、その発電所が地震で働かなくなったらどうなる。誰でも想像はつくね。しかもその発電所は埋立地に建てられている。このような想定はさっき書いた原子力資料情報室の報告に詳しい。
エード・メモワールとはフランス語から出た用語で、外交上の覚書あるいは備忘録という意味だ。
そのエード・メモワールには「原潜の運航は、少なくとも陸上原子炉と同等に信頼できる安全性を有する」と誇らしげに書かれている。
Kくん、君も知ってのとおり、アメリカの原発は1979年にスリーマイル島で大事故を起こしているのだが。
またこうも書く。「米原子力軍艦の運航を通じ、原子炉装置に損害を生じ、又は周辺の環境に何らかの放射能の危険をもたらした事故はなかった」
ところが1999年、原子力空母ステニスは原子炉が緊急停止する事故を起こし、2006年から2008年までの2年間にわたって原潜ヒューストンが放射能漏れを起こしていたと米海軍は発表している。
あまり大きなことをいっても、世の中には絶対はないということぐらい誰でも知っているのだが。
さて、原潜はどのように港に出入りするのか見てみよう。
「入出港は原子動力によって行われる。原子炉は停泊後まもなく停止され、また、出港の数時間前に始動される」
つまり、港の出入りの際に原子炉を停止することはなく、停泊してから原子炉を止めるというのだ。港に入っている間は原子炉は止まっている、これは大事なことだから覚えておこう。
次が本題だ。修理に関してこう書いている。
「原潜の燃料交換及び動力装置の修理を日本国又はその領海内において行うことはない」
「放射能にさらされた物質は、外国の港にある間は、原潜から排出されることはない。例外的な事情の下で、放射能にさらされた物質が排出される場合においても、危険を生ずることのない方法で、かつ、合衆国の港においてとられる手続きに従い行われる」
アメリカの港の手続きとはどんなかな。海軍の指令があるそうだが、部分的にはエード・メモワールにも書かれている。
「固形廃棄物は、承認された手続きに従い、原潜によって合衆国の沿岸の施設又は専用の施設船に運ばれたのち、包装され、かつ、合衆国国内に埋められる」
Kくん、以上がエード・メモワールを読んで気がついたことだが、アメリカはこのエード・メモワールのほかに、1週間後の1964年8月24日に声明を出している。それによれば「寄港に関し、受入国に対し、原子力軍艦の設計又は運航に関する技術上の情報を提供しない」
原潜に積まれた原子炉の構造を知ろうとしても、情報は与えないというのだね。
ところでKくん、原子力潜水艦が初めて日本に寄港してから3年後に、原子力空母が初めて日本にやってきた。1968年1月19日、原子力空母エンタープライズがやはり佐世保港に入ったのだ。
このときもアメリカはエード・メモワール(1967年10月20日)で次のように書いている。
「原潜の寄港に関する1964年のエード・メモワールにいう原子炉の安全性及び運航に関する諸点はアメリカの原子力水上軍艦にも等しく適用される」
つまり原潜の寄港で約束したことは、原子力空母の寄港でも同様に約束するというのだね。
このエンタープライズの初寄港について、私にはちょっと意外に思ったことがあるんだ。日本の原子力委員会が寄港にお墨付きを与えているんだね。
「米原子力水上軍艦の寄港には、わが国民、特に寄港地周辺の住民の安全上支障はないものと判断する」(1967年11月1日)
原子炉の構造も見ることなしに、よくそんなことがいえるものだと驚いてしまった。判断の根拠はただアメリカの説明だ。
「最大想定事故を仮定した場合のアメリカの安全解析によれば、原子力軍艦がその停泊地点の周辺の住民に対し不当な放射線その他の原子核による危険をもたらすものではない旨アメリカは言明した」からというのだから呆れるじゃないか。
そして原子力委員会がお墨付きを与えた翌日、外務省はエンタープライズの寄港に同意するという文書を発表した。
「安全性確認のため米国政府に照会を行い、原子力委員会の見解をも参考にして、安全性に確信を得たから原子力水上艦の寄港に同意した」(1967年11月2日)
原子力委員会の委員はその後代替わりしているだろう。今の委員はこの件を知っているのだろうか。原子炉の構造も分からないまま安全だというだろうか。質問状を出してみたいね。
さてKくん、長々と昔のことを書いてきたが、いよいよジョージ・ワシントンにつながってゆくからもう少し付き合ってくれ。
一昨年の2008年9月25日、原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)は横須賀に母港配備された。そのときアメリカはファクトシートなるものを発表した。
ファクトシートとは概況報告書とか説明文書のことだと辞書にはある。今度はなぜエード・メモワールじゃないのか。ちょっと詳しいからだね。
共産党の赤嶺議員が国会でGWの安全性について質問したところ、政府は次のように答弁している。
「ファクトシートにおいて、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する方針をすべて堅持し厳格に実施するとの米国政府の従来からの方針が改めて明示的に確認され、また、米海軍の原子力軍艦の設計や構造に関する情報を含め、従来よりも詳細な説明がされている」
そのファクトシートだが、アメリカが公表した「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート」(2006年4月17日)は次の11章からなっている。
1.合衆国原子力軍艦の安全性に関する合衆国政府のコミットメント
2.海軍の原子炉の設計
3.海軍の原子炉の稼働
4.原子力軍艦関連の合衆国職員が受ける放射線量
5.廃棄物の処理とメンテナンス
6.環境への影響
7.環境モニタリング
8.緊急対応 / 深層防護
9.極めて想定し難い事故のシナリオにおける放射能放出の可能性
10.緊急事態対応計画
11.補償
政府が答弁しているようになるほど詳しい。つい読み飛ばしてしまいたくなるよ。しかし、この場合詳しいとは専門的という意味だ。詳しければ詳しいほどそこに落とし穴も待っている。専門家に言わせれば肝心なところが欠けているということだろうが、原子力資料情報室のスタッフは科学的な想像力を駆使して欠けている部分を補った。
すると、米海軍が安全性の根拠とすることが、逆に危険性の根拠になったのだね。
いまここで問題にしたいのはエード・メモワールとの関連だ。
「日本国の港に寄港する原子力軍艦の安全性については、合衆国政府は、1964年のエード・メモワール、同年の外国の港における原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明、1967年のエード・メモワール、及び1968年の会談覚書におけるものを含め、確固たるコミットメントをこれまで行ってきた。合衆国政府は、これらのコミットメントのありとあらゆる面が引き続き堅持されることを表明する」
「1964年のエード・メモワールで表明された燃料交換及び修理に関する合衆国のコミットメントは、引き続き完全に堅持される。燃料交換及び原子炉の修理は、外国では行われない。燃料交換は、適切な特別の装置を用いて、かつ、合衆国海軍原子力推進機関プログラムが認めた施設(合衆国国内にのみ所在する)においてのみ行い得る」
過去のエード・メモワールで約束したことは、GWの母港配備についても約束するというのだ。しかし、つい見落としがちなんだが、2つ目の引用の2行目「燃料交換及び原子炉の修理」となっているね。
エード・メモワールでは「燃料交換及び動力装置の修理」なんだよ。「原子炉」と「動力装置」の違いとは何か。いまこれが横須賀ではホットな話題だ。
「動力装置」とは「原子炉からスクリューまでのシステム全体を指す」と海軍の文書にも書いてある。実は去年の1月から5月までGWはメンテナンス工事を行った。その工事とは、朝日新聞の質問に答えた米海軍原子力推進プログラムによれば、「(原子力推進機関の)1次系、2次系の両方のプラントに関連する部品やシステムに関するもの」「低レベル放射能を含む部品やシステムの定期的なメンテナンスも含む」ものだった。
だから、アメリカはエード・メモワールを遵守するとはいいながら、こっそり、意図的に、上記の工事を行うために「原子炉の修理はしない」とすり替えたのだと、横須賀では懐疑的に見ている。
数ある中の一つの証拠として、1トンもの放射能を浴びた廃棄物がGWから搬出されたとも新聞で報じられた。
この行為もまたファクトシートの意図的すり替えに基づいていた。エード・メモワールでは「放射能にさらされた物質は、外国の港では原子力艦から搬出されない」と書かれた部分がファクトシートでは消えていたのだよ。
最後にもう一つ問題にして終わるとしよう。
ファクトシートには次のような記載がある。
「合衆国政府としては、合衆国原子力軍艦についての極めて想定し難い事態に対処するためには、地震、化学物質輸送時の事故等の自然災害及び産業災害に対処するための日本国の既存の緊急事態対応計画で十分であると考える」
「地震のときの日本の緊急事態対応計画」とは、原発の事故想定をいっているのじゃないかな。
こんな記事があった。「茨城・東海村にある原子力発電所の事故を想定した防災訓練が22日、行われた。訓練では、鳩山首相が災害対策本部長として官邸から指揮を執り、緊急事態宣言を出すなどした」
首相が指揮を取った訓練の事故想定は、原因が地震なのか、あるいは人的ミスなのか、そのほかなのかは示されていない。
しかし横須賀でもこのくらいの訓練はしなさいとファクトシートでは求めているようだね。実際は、米軍は市民との防災訓練を必要としないと拒んでいる。米軍が参加しないと意味がないし、これはファクトシートと矛盾しているのではないか。
残念ながら日本の電力会社は地震による放射能拡散事故を想定していないようだ。これを認めさせて政府の緊急事態対応計画に盛り込めば、GWにも原発と同等の事故を想定できるのではないか。原発の地震被害を、火災事故だけではなく原子炉にまで影響する最大被害想定に切り替えるよう求める運動も大事だと思ったよ。
地震とGWについては後日また書くつもりだ。
つけたし。GWが停泊中に大地震が襲ったらどうなるのか。一番考えられるのは原子炉が必要とする冷却水が供給できなくなるという点だ。というのも、原子炉は止まっているから自力で冷却水を送ることは出来ない。そこで陸上の発電所から電力を送っているのだが、その発電所が地震で働かなくなったらどうなる。誰でも想像はつくね。しかもその発電所は埋立地に建てられている。このような想定はさっき書いた原子力資料情報室の報告に詳しい。
コメント
コメントの投稿
▲トップに戻る