四か月ぶり
リハビリの専門員が私を外に連れ出した。まずスリッパから靴に履き替えなければならない。車椅子に乗ったままうろうろしていると、専門員が手助けしてくれた。玄関に立ってドアを開け外に出た。何と四か月ぶりだ。目を左にもっていくと木々が新緑に映えて全く美しい。右側の1号棟の外れへと続く通路も何ともいえないおとなしさがあふれている。私の三軒隣の部屋は人が住んでいなかったが、今は入っているようだ。Hさん、Sさんも相変わらず自分の部屋に入るようだ。左の杖が重々しく、右足がきつくなりはじめた。
一号棟は1から17室だが、中央のところにポストがついている。私が止まるのも当然だと思って足踏みしていると、専門員はここまでですかと言って、15分30秒かかったという。四か月前は10分だった。こんなものかな。それより外を歩いた心地よさだ。帰りは15分だった。
次の日は専門員の言葉にそって休みにしたが、その次の日は朝早く起きて外を歩くことにした。車椅子に乗ってスリッパを靴に履き替えた。車椅子のままじゃ立てない。靴箱のふたを少し開けて手をそこにおき、反動をつけて立ち上がった。それからドアを開けて外に出た。まっすぐ前を見た。この通路を行くのだと心に言い聞かせた。ポストまで14分だった。それから小さい坂を上った。普通なら中央口から表に出るのだが、中央口を止めて通路をまっすぐにした。そしてエレベーターの前でUターンした。小さい坂を上るのが一苦労だった。帰りは13分30秒だった。
それから毎日少しずつ行き先を延ばし、今ではエレベーターの前から数えて四つの部屋の前に来ている
コメント
まるで冬眠から目覚めたようですね。よい季節です。
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